私・渚は産婦人科医です。
女性の産婦人科医はまだ多くなく、忙しい毎日でしたが、赤ちゃんの産声を聞くたびに、この仕事を選んでよかったと思っていました。
夫の北斗も、結婚前はそんな私を応援してくれていました。
「医者として働く渚は輝いて見える」
そう言ってくれた人です。
ところが入籍した途端、夫は会社を辞めました。
今は1日4時間ほどのアルバイト。
それなのに私には、
「女のくせに医者なんて生意気だ」
「普通は仕事を辞めて、帰ってきた夫を迎えるものだろ」
「夫に口答えするな」
と言うようになりました。
私の方が長時間働いて家計を支えているのに、夫は「夫を立てろ」と威張るばかり。
結婚してまだ1年でしたが、私はすでに離婚を考え始めていました。
そんな時、私自身に婦人科系の病気が見つかりました。
約1か月の入院。
自分の体のことだけでも不安だった私の病室へ来た夫は、開口一番こう言いました。
「何勝手に病気になってんだよ。俺の飯どうすんの?」
点滴を交換していた看護師も言葉を失っていました。
そして休職している私に、
「病気を理由に専業主婦になるつもりじゃないだろうな」
「時代は共働きだ。休むな」
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