俺は物流会社でエリアマネージャーをしている、ひろしです。第一子の誕生を前に、仕事にも一層身が入っていました。妻のこまみは里帰り出産のため実家に戻っていて、義両親の世話になっていたのですが、その頃から、どうも様子がおかしくなっていたのです。
義実家に顔を出しても、歓迎される空気はありません。妻も義父も義母もどこかよそよそしく、会話はすぐ終わる。それでも「出産前でみんな余裕がないのかもしれない」と、自分に言い聞かせていました。俺はその間も、義実家に毎月50万円を送り続けていました。義父の会社の資金繰りが苦しいと聞かされ、家族になる以上は支えようと思っていたからです。
子どもが生まれた日も、俺は急いで病院へ向かいました。けれど、作業着のまま駆けつけたことを妻に強く責められ、「今すぐ帰って」と冷たく追い返されてしまいます。さすがに堪えましたが、出産直後で気が立っているのだろうと思うことにしました。
ところが、病室にスマホを忘れたことに気づき、取りに戻った夜、すべてがひっくり返ります。
廊下の向こうから聞こえてきたのは、妻と義両親、そして見知らぬ男の楽しげな声でした。男はIT企業の社長を名乗り、妻はその男に甘え、義両親も当然のように受け入れている。しかも「ひろしはもう済んだ」「50万円ぽっちしか出せない男に用はない」――そんな言葉まで耳に入ってきたのです。
あの数分で、これまでの違和感が全部つながりました。
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