親戚の集まりの午後、居間に残ったのは佐藤一郎と、いとこの田中健二だった。二人とも65歳を過ぎ、話題は自然と年金や生活費のことに移っていった。
一郎はため息をつきながら話し出す。
「年金が年間156万円しかないのに、住民税の通知が来たんだ。
正直、納得できなくてね」
すると健二が少し驚いた表情で答えた。
「え? 俺のところは税金、0円だったよ」
一郎は思わず聞き返した。健二によると、老齢年金は年間155万円。加えて、週に数日の仕事で給与収入が75万円ある。合計すると年収は約230万円になる。
「どう考えても、俺のほうが収入は多いよな」
一郎は首をかしげた。年収156万円で課税、230万円で非課税——どう考えても逆に見える。
二人は紙とペンを出し、制度どおりに計算してみることにした。
まず一郎の場合。
65歳以上で老齢年金が156万円。公的年金等控除は110万円。
156万円 − 110万円 = 46万円
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