仕事を終えて家に着いたのは、夜7時半を少し過ぎた頃だった。
玄関の前まで来た私は、ドアに貼られた1枚の紙を見て足を止めた。
そこには大きな字で、
「お家の後ろのエコキュート?から大量の水が噴水しておりました」
と書かれていた。
一瞬、意味が分からなかった。
さらに読み進める。
「勝手に申し訳ありませんが、止水バルブしめさせてもらいました。
あけたら噴水します。水道屋さんよんで対応ください」
……噴水?
私はバッグを玄関に置くことすら忘れ、そのまま家の裏へ走った。
すると、給湯設備の周囲はびしょ濡れ。
コンクリートには大きな水たまりができ、壁まで濡れている。
「嘘でしょ……」
朝、家を出た時には何の異常もなかった。
慌てて貼り紙に書かれていた連絡先へ電話すると、近所の男性が出た。
「昼過ぎですよ。ものすごい勢いで水が出てたんです」
男性によれば、最初は雨水かと思ったらしい。
ところが晴れているのに水音だけが続き、確認すると、うちの設備付近から水が噴き出していたという。
しかも道路側まで流れ始めていた。
「インターホンを何回か押したんですが留守だったので……」
そこで男性は管理会社にも連絡し、状況を説明した上で止水することになったらしい。
私はそこでようやく、
「勝手に触られた」
ではなく、
「止めてくれたんだ」
と気づいた。
もし夕方まで数時間、水が出続けていたらどうなっていたのか。
考えただけでゾッとした。
翌朝、水道業者に来てもらった。
点検してもらうと、給湯設備につながる配管の一部に不具合があり、そこから水が漏れていたことが分かった。
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