「この離婚届を10分以内に役所へ出してきなさい」
夫の出張中、義母が突然そう言って、1枚の紙を差し出した。
夫の欄にはすでに名前が書き込まれ、証人の署名まで済んでいた。
かなり前から用意されていたものらしい。
夫はこれを懐に隠したまま、平然と食卓についていたことになる。
「あんたの名前をそこに書いて、10分以内にね」
まるで宅配便の再配達を頼むような軽さで、義母は離婚を命じてきた。
結婚したのは7年前の春。
銀行員として働いていた私は、結婚を機に仕事を辞め、義母と同居することになった。
「うちは代々、女は家庭に入るものなの」
そう言われ、夫も義母の側に立ち、一度も私の味方をしてくれなかった。
掃除の仕方から味噌汁の味付けまで、何をしても口を出された。
誕生日を祝おうとした日には、「子どももいないくせに」と玄関先でため息をつかれたこともある。
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