「今月の十八万円、まだ入っていないわよ」
十八日間の入院を終え、ようやく自宅のベッドで横になれた翌朝。
私の耳に最初に飛び込んできたのは、久美子さん――義母の、冷え切った声だった。
体調はどうか、退院できたのか、そんな言葉は一つもない。
十八日間も病院にいた私を気遣う気配は、電話の向こうにかけらもなかった。
彼女が気にしていたのは、私の身体ではなく、毎月の振り込みだった。
私は枕元の時計を見た。午前七時十二分。
退院したのは昨夜遅く。夫の拓哉は仕事を理由に迎えにも来ず、私はタクシーで帰宅した。点滴跡の残る腕は重く、少し起き上がるだけで息が上がる。そんな状態で聞かされたのが、「生活費はどうなったの」という一言だった。
「お義母さん、私の体調は聞かないんですね」
そう返すと、久美子さんは一瞬だけ黙った。
だが、その沈黙は反省ではない。
すぐに苛立った声で言い返してきたのだ。
「そんなことより生活費よ。こっちにも予定があるんだから」
その瞬間、私は胸の奥で何かがすっと冷えていくのを感じた。
入院が決まった日、私は家族のグループラインに「しばらく入院することになりました」と送った。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=xNujYmWak-U,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]