シートベルト着用サインが消れ、機内が少し落ち着いた頃だった。
私は空腹に耐えきれず、用意したラーメンのふたを開けた。
湯気と一緒にスープの香りが立ち上がる。
ようやく食べられる。
そう思って箸を持った瞬間、なぜか前方から強い視線を感じた。
顔を上げても、目の前にあるのは青い背もたれだけだ。
周囲の乗客も、それぞれ本を読んだり眠ったりしている。
気のせいだと思い、麺を持ち上げた。
しかし、やはり誰かに見られている。
視線の先をたどると、前の座席と座席の間に小さな顔が挟まっていた。
赤ちゃんだった。
頬を座席に押しつけるようにしながら、じっとこちらを見ている。
正確には、私ではなくラーメンを凝視していた。
その目は真剣そのものだった。
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