彼女は玄関の前で振り返った。
「この跡より、それを見た瞬間のあなたの顔の方が傷つくよ」
私は言葉を失った。
嫌悪したつもりはなかった。
ただ驚いただけだと弁解しようとした。
しかし、彼女からすれば同じことだった。
私は事情を何も知らないまま脚を凝視し、頭の中だけで病気や感染を疑っていた。
「心配だったんだ」
私がそう言うと、彼女は静かに首を振った。
「本当に心配なら、『痛くない?』『大丈夫?』って聞くでしょ。黙ってそんな顔をされたら、私がどんな気持ちになるか分かる?」
返す言葉がなかった。
写真や見た目だけで、その跡が何なのか判断することはできない。
本人が説明したくない事情かもしれないし、すでに必要な対応をしているかもしれない。
そもそも、出会ったばかりの私に詳しく話す義務などなかった。
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