「看護師って給料いいんでしょ? 結構貯金あるんじゃない?」
職場の休憩室で同僚にそう言われ、私は曖昧に笑った。
「いや……全然ないよ」
冗談ではない。
一人暮らしを始めて数年。
夜勤もしているし、決して収入が極端に少ないわけではない。
それなのに給料日前になると、口座残高を見てため息をつく生活が続いていた。
「何にそんな使ってるんだろう」
そこで私は1ヶ月だけ、出費を全部記録してみることにした。
結果は――。
家賃90,000円。
食費40,000円。
水道代3,000円。
電気代10,000円。
ガス代6,000円。
通信費15,000円。
生活雑費10,000円。
医療費0円。
ここまでは合計174,000円。
そして最後の項目を見た瞬間、私は固まった。
「デート代……70,000円?」
合計244,000円。
思わず電卓をもう1度叩いた。
間違っていない。
原因の大部分は、毎週末のデートだった。
外食。
映画。
カフェ。
ドライブ。
ちょっとした買い物。
1回1回は数千円だから気にならない。
でも積み重ねると70,000円になっていた。
しかも、よく考えれば会計の時に財布を出すのは、ほとんど私だった。
彼氏は悪びれもせず、
「今日もお願いしていい? 給料日前なんだ」
と言う。
私は看護師だから彼より収入が多い。
その負い目のようなものがあって、
「まあいいか」
と毎回払っていた。
しかし、ある日のデート。
夕食代が12,000円。
会計前になると彼がスマホを見ながら言った。
「今日も出してくれるよね?」
私は財布を出さなかった。
「今日は割り勘にしない?」
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