「そこのおばあさん、少し待ってください!」
午後の賑やかなスーパーマーケット、その鋭い声が突如として店内に響き渡った。
買い物客たちが一斉に声の方を振り向き、ざわめきがピタリと止まる。
レジ前に立っていたのは、薄汚れた古い手提げ袋を手にした一人の老婦人だった。
その姿を見つめるのは、レジ担当の直美。彼女は眉間に皺を寄せ、警戒心を露わにしていた。
「ちょっとおかしくない? なんか怪しいわ…」
そう囁く同僚の言葉に、直美の疑念は確信へと変わっていく。
「失礼ですが、カバンの中を拝見してもよろしいでしょうか?」
警備担当の遼太が近づき、静かに老婦人に問いかける。
老婦人――幸子は、驚きの表情一つ見せず、穏やかに微笑んだ。
「もちろん、どうぞご覧くださいな」
ゆっくりと手提げ袋の口を開けると、中から出てきたのは米、豆腐、味噌、そして少量の野菜。
遼太がレシートと照らし合わせると、すべて一致していた。
「…問題ありません。すべて、ちゃんとお支払い済みです」
直美の声がかすれた。
だが疑いは拭いきれなかった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=4BfaQz1vlsQ,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]