長い嘘は、いつしか呼吸のように日常へ溶ける。
そして日常になった罪ほど、暴かれた瞬間の破壊力は凄まじい――私は、その意味を身をもって知った。
私の名は、大崎エミコ。五十三歳。夫とは同い年で、二人暮らしだ。子どもは二人とも独立し、それぞれ家庭を築いている。傍から見れば、穏やかな老後の入口に立つ夫婦……そのはずだった。
けれど私は、十五年ものあいだ、夫を騙し続けていた。
相手は、夫の同級生。
「ただの浮気」では済まない、最も発覚しやすく、最も許されにくい裏切りだった。
始まりは、娘が十歳の頃。育児が一段落し、私は「女としての自分」を取り戻したいと焦っていた。ところが夫は、子どもが生まれて以来、私を“妻であり母”として扱うばかりで、女として見てくれなくなった。夜の生活は激減し、私が誘っても、夫は「疲れている」「明日早い」と目を背けた。
不満は積もり、胸の奥で腐っていった。
いっそ外で承認を求めてしまおうか――そんな危うい考えがよぎった時、彼が現れた。
ある晩、夫と居酒屋へ行った。偶然、隣の席に座っていたのが夫の同級生だった。三人で飲み、笑い、何事もなく帰った。――その時点では、ただの偶然の再会に過ぎなかった。
だが数日後、私が一人で入ったカフェで、彼とばったり再会した。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=20yEapWvKlU,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]