両親が離婚して半年。母は『いつでも電話して』と言ったのに、何度かけても出ない。LINEは未読のまま、なのに母のSNSだけは笑顔のカフェ写真で更新される。耐えきれず父に聞くと『もう連絡するな。母さんはお前に会いたくない』――私は、捨てられたの?
高2の春、家が二つに割れた。離婚届を出した日、母は私の手を握り、「いつでも電話して。
あなたの味方だから」と笑った。その言葉を、私は信じた。
最初の一週間は遠慮していた。二週間目に送った「元気?」は未読のまま。電話は留守電ばかりで、四週間目、呼び出し音のあとぷつっと切れた。拒否された、とわかった瞬間、胸の奥が冷えた。
父に訴えると、父は皿を洗いながら言った。「母さんにも事情がある。刺激するな」事情って何。私は“刺激”なの? 怒りより先に、情けなさが込み上げた。
土曜、母の旧住所に行った。ポストの名字は変わり、インターホンの向こうの男性は「前の人はもう出たよ」とだけ言った。駅までの帰り道、母がいないだけで街の音が全部うるさかった。
家に戻ると、父がようやく口を開いた。
「…母さん、心療内科に通ってる。離婚の前からだ。お前に言うと抱え込むと思って」知らなかった。知らされなかった。怒りと同じくらい、怖さが湧いた。
その夜、私は短い手紙を書いた。「返事はいらない。でも、生きてるってだけ教えて」翌日、簡易書留で送った。ポストに落とした瞬間だけ、少し息がしやすくなった。
三日後、知らない番号から着信。
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