7月末、13ヶ月働いた保育園を退職した。
最後の給料が振り込まれた日、私は何度も明細を確認した。しかし、退職金らしき項目はどこにもない。
金額が多くないことは分かっていた。それでも、胸に小さな棘が刺さったような違和感が残った。
採用されたときの求人票には、はっきりとこう書かれていた。
「退職金制度あり(勤続1年以上)」
私は1年1ヶ月働いた。
条件は満たしているはずだ。
園長に確認すると、返ってきたのは驚くほど冷たい言葉だった。
「退職金?あなたは対象外ですよ」
「でも、求人票には勤続1年以上と書かれています」
そう伝えると、園長は面倒そうにため息をついた。
「それは昔の記載です。今は3年以上働いた人だけ。金額だって大したことないでしょう?」
その一言を聞いた瞬間、悲しさが怒りに変わった。
大した金額ではないから、説明しなくてもいいのだろうか。
人手が足りない日は休憩を削り、熱を出した職員の代わりに出勤し、泣いている子どもを抱きながら残業した。13ヶ月という時間を「大したことない」の一言で片づけられたくなかった。
私は言い争わず、「分かりました」とだけ答えた。
その日の夜、保存していた求人票、雇用契約書、給与明細、退職日が分かる書類を机に並べた。求人票には「勤続1年以上」とある。一方、契約時に退職金が3年以上必要だという説明は一度もなかった。
翌日、私は園にメールを送った。
「対象外となる根拠について、就業規則と退職金規程の該当箇所を、書面でご回答ください」
すると、それまで強気だった園長からの返事が突然止まった。
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