ついに、息子の多趾症の手術の日が決まった。
生まれたときから、息子の足には左右合わせて12本の指があった。
初めてその小さな足を見た日、驚きよりも先に、「この子を絶対に守ろう」と思った。けれど医師から、成長後の歩行や靴選びへの影響を考え、手術という選択肢を説明されたとき、胸の奥が締めつけられた。
頭では必要性を理解していても、健康な小さな体に手術を受けさせることが怖かった。
入院生活は大丈夫だろうか。
麻酔から無事に目を覚ましてくれるだろうか。
術後の痛みに耐えられるだろうか。
不安を口にすると、親戚の1人から言われた。
「早く普通の足にしてあげたほうがいいよ。本人がかわいそうでしょう」
その言葉に、私は悲しくなった。
12本の指がある息子は、決して「かわいそうな子」ではない。毎日よく笑い、両足を元気いっぱいに動かし、私の手につかまって立ち上がろうとする。
手術を受けるのも、誰かの言う「普通」に合わせるためではない。
息子がこれから歩き、走り、自分に合う靴を履きやすくするために、医師と何度も相談して決めたことだった。
「この子は今のままでも大切な私の息子です。
手術は、将来の生活を考えて家族と医師で決めました」
私は静かにそう返した。
入院前夜、最後に12本の足の爪を整えた。
爪切りを当てるたび、この小さな指で私のお腹を蹴っていた頃や、生まれて初めて触れた日の温もりがよみがえった。
「今まで一緒にいてくれて、ありがとう」
そう語りかけると、涙がこぼれそうになった。
けれど息子は何も知らず、私の顔を見て笑っている。
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