朝6時56分、姉はスマホを握りながら、少し焦っていた。
飼っているうさぎが、いつもより元気がない。食欲も落ち、お尻周りの毛も汚れているように見えた。
「爪も伸びてるし、ついでに全部お願いできるか聞いてみよう」
姉は以前登録した病院のトーク画面を開き、そのまま問い合わせを送った。
「爪切りとお尻周りを刈ってほしいです。あと、鬱滞になっていないか薬がほしいです」
送信を終えた姉は、仕事の準備に追われ、そのことをすっかり忘れていた。
ところが午前9時32分、長い返信が届いた。
「お問い合わせありがとうございます。恐れ入りますが、当院では爪切りやお尻周りのシェービングは行っておりません」
そこまで読んだ姉の指が止まった。
さらに画面には、こう続いていた。
「また、鬱滞に関するお薬につきましても、当院では専門的な診察・処方が難しいため、症状に応じた医療機関をご受診いただくことをおすすめいたします」
「え?動物病院なのに?」
一瞬、不思議に思った姉は、画面上部の名前を確認した。
そこに表示されていたのは、かかりつけの動物病院ではない。
以前、肌の相談で登録した美容外科だった。
朝一番から突然、
「爪を切ってほしい」
「お尻周りを刈ってほしい」
「鬱滞の薬がほしい」
そんな内容を受け取ったスタッフは、いったいどんな患者を想像したのだろう。
姉の顔から一気に血の気が引いた。
「絶対、変な人だと思われた……」
慌てて送信取消を探したが、すでに既読。しかもスタッフは、内容を否定したり笑ったりせず、診療できない理由を一つずつ丁寧に説明してくれていた。
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