久しぶりに息子が帰省してきた日のことだった。
昼過ぎ、息子が友人と出かけるというので、
「駅まで送っていこうか?」
と声をかけた。
息子も「お願い」と言うので、私は車の鍵を持って外へ出た。
ところが駐車場を見た瞬間、足が止まった。
「……出れないじゃん」
我が家の駐車場の真正面に、見覚えのない白い車が堂々と停まっていた。
少し寄せてあるならまだしも、この位置では車を出せない。
運転席には誰もいない。
ハザードも点いていない。
連絡先も残されていなかった。
最初は近所の誰かの車だと思い、向かいの家や周辺のお宅に、
「この車、お宅のお客さんではないですか?」
と尋ねて回った。
しかし返ってくる答えは、
「違いますよ」
ばかり。
息子も予定の時間が迫り、
「これ、完全に出られないね」
と苦笑していた。
正直、住宅街なので多少の路上駐車なら見かける。
近所同士、お互い迷惑にならない位置なら強く言わないこともある。
でも今回は話が違う。
人の家の駐車場を完全に塞いでいる。
私はクラクションを鳴らし続けるようなことはせず、まず車の位置が分かるよう写真を撮った。
それから警察へ相談した。
しばらくするとパトカーが到着。
警察官も現場を見るなり、
「これは確かに出せませんね」
と一言。
ナンバーなどを確認したあと、周辺に持ち主がいないか呼びかけを始めた。
パトカーのスピーカーから、
「白い車の所有者の方、車両を移動してください」
という声が住宅街に響いた。
1回。
2回。
それでも誰も来ない。
さすがに近所の人たちも窓から様子を見始めた。
そして数分後。
向かいの家から、若い男性が慌てて走ってきた。
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