同僚に嵌められ、私はすべてを失った。
都心の本社で十年以上積み上げてきた実績も、部下からの信頼も、ある内部監査をきっかけに一夜で崩れ去った。
横領の疑い。
もちろん事実無根だったが、証拠とされた書類は巧妙に改ざんされ、私一人に責任が押し付けられた。
結果、処分は「左遷」。
配属先は、地図で探さなければ見つからない山間の町にある、老朽化した地方工場だった。
私は佐久間亮、四十歳。
肩書は「工場管理課主任」。
実質的には、都落ちも同然の扱いだ。
赴任初日、錆びついた門と剥がれた外壁を見た瞬間、胸の奥が冷えた。
「ここが、俺の居場所か……」
工場に併設された社宅は、さらにひどかった。
築四十年以上。廊下の照明はちらつき、風が吹くたびにどこかが軋む。
その日、荷物を抱えて社宅に戻った私は、玄関前で足を止めた。
――人が倒れている。
薄暗い廊下の先、床に横たわっていたのは、スーツ姿の若い女性だった。
長い黒髪が乱れ、顔色は青白い。
一瞬、頭が真っ白になる。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9BMkm3GzJaA,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]