「退職金は、一人一万八千七百八十二円だ。感謝の気持ちだよ。意味、分かるだろ?」
新社長・誠は、社長室の椅子に深く腰掛けたまま、薄ら笑いを浮かべてそう言った。
目の前に座るのは、俺と部下の鈴木。
三十八年間この会社で働いてきた俺と、まだ若いが将来有望な女性社員だ。
俺の名は新田、六十歳。
大学卒業後から三十八年、金属部品や機械製品を扱うこの会社で、設計開発一筋に生きてきた。
数年前までは開発部長を務めていたが、若手育成のため自ら役職を後進に譲り、今は現場で技術と知識を伝える立場にある。
鈴木は、いわゆるギャル風の見た目で、最初は誤解されがちだったが、実際は機械や設計に強い才能を持つ社員だった。
俺は彼女の教育担当として、技術者としての基礎から丁寧に指導してきた。
そんな日常が崩れたのは、新社長・誠が就任してからだ。
彼は前社長である会長の息子で、関連会社から戻り、満を持して社長の座に就いたという触れ込みだった。
異変の兆しは、視察の日に現れた。
誠は鈴木を見るなり、親しげに「愛ちゃん」と呼び、距離を詰めようとした。
後に分かったことだが、鈴木は就業後、私服姿のところを誠に声をかけられ、執拗に食事に誘われていたのだという。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=tG3-vufJuVE,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]