「たった三年の独占契約で、随分と偉そうですね。逆らうなら契約を切りますよ」
その言葉を聞いた瞬間、俺は内心で静かにため息をついた。
目の前に座る取引先の新部長・野田は、自分が完全に優位に立っていると信じ切った表情をしていた。
俺の名前は市原。三十五歳。
精密計測機器を製造・販売する地元企業で、営業部の係長を務めている。
新人時代、必死に探し当てて契約を結んだ部品メーカーと、気づけば十二年の付き合いになっていた。
その会社は当時まだ小規模だったが、品質の高さは群を抜いていた。
倒産した前任の取引先の代わりとして、何度も頭を下げ、ようやく契約を勝ち取ったのが始まりだ。
三年前からは特定部品について三年の独占契約を結び、満了後は延長するのが暗黙の了解となっていた。
ところが、その信頼関係は一人の人間によって簡単に崩されることになる。
前任の製造部長が病気で引退し、外部から引き抜かれてきたのが野田部長だった。
初対面からどこか他人行儀で、こちらを値踏みするような視線が気になったが、その時は深く考えなかった。
異変が起きたのは、それから半月後だ。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Mwxi3BkD07o,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]