物流センターの蛍光灯は、朝から容赦なく白い光を落としていた。フォークリフトの警告音、端末のピッという読み取り音、段ボールの擦れる音――それらが重なり合う現場で、俺はいつも通り在庫の動きを追っていた。
俺の名は中村 恒一。三十二歳。高卒で中途入社し、現場叩き上げでここまで来た。肩書きは「倉庫管理システム担当」。もっとも、そんな立派な部署があるわけじゃない。
現場が回らなくなるたび、俺が呼ばれる。棚卸しのズレ、誤出荷、欠品、返品の山。誰もが「仕方ない」と諦めていた混乱を、俺は嫌だった。
だから作った。
自社の在庫システムを。
きっかけは、深夜の棚卸しで手書きの紙が雨に濡れ、数字が滲んで読めなくなったことだ。あの時、上司は笑って言った。「まあ、明日また数えりゃいい」。その軽さが、俺には耐えられなかった。人が疲れてミスをし、責任だけが現場に落ちる。
なら、仕組みで減らすしかない。
独学だった。仕事が終わってから、無料の教材をかき集め、休日は古いノートPCに向かった。最初はバーコード読み取りと簡単な入出庫管理だけ。だが現場は正直だ。便利だと分かると、みんな使った。誤出荷が減り、棚卸しの時間が半分になり、欠品が事前に見えるようになった。
やがて、親会社の耳にも入った。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=J0DSkjTJZF0,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]