最終面接の会議室は、妙に空気が乾いていた。
ガラス越しに見える都会の空は青いのに、室内だけが薄暗い。机の上には、私が何度も推敲した履歴書と職務経歴書。ボールペンの跡が残る指先を握りしめ、私は静かに深呼吸した。
俺の名は相馬 恒一。二十七歳。学歴は中卒だ。家庭の事情で中学卒業と同時に働き始めた。工場、倉庫、配送、現場の何でも屋。けれど、ただ身体を動かしてきたわけではない。仕事の合間に資格を取り、改善提案を書き続け、気づけば現場の段取りと数字を任されるようになっていた。
そして今日――中堅企業「志賀ソリューションズ」の最終面接。
採用担当は「現場感覚がある人材が欲しい」と言った。筆記試験も一次面接も通った。だから、まさか“学歴”だけで潰されるとは思っていなかった。
扉が開き、入ってきたのは、鋭い目つきの男だった。
エリート部長・三浦。役員候補と噂される人物だ。後ろに人事課長が付き添い、緊張した顔で席に着く。
「相馬君、だね」
部長は笑っていない。資料をぱらぱらとめくり、数秒で手を止めた。
「……中卒?」
その一言に、胸がきゅっと縮む。だが私は姿勢を崩さず、頷いた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9yOf2EVxv_0,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]