ナースセンターの蛍光灯は、深夜になっても消えなかった。救急外来は二十四時間体制。救急車のサイレンが近づくたび、眠気も痛みも置き去りにして立ち上がる。――それが、私たちの誇りであり、同時に限界だった。
俺の名前は佐々木 恒一。看護専門学校を卒業してこの地方の中堅病院に入職し、今年で八年目。救急外来チームのリーダーを任され、若手の指導もしている。
自分が新人だったころ、どんな先輩がいてほしかったか。毎日のように考えながら、現場を回してきた。
だが、その現場を壊す人間がいた。看護師長の太田だ。
彼女は「地域医療への貢献」を盾に、外来からヘルプ要請が来れば即座に安請け合いする。その結果、救急チームは慢性的な人手不足に追い込まれ、呼び出しは増え、仮眠も取れない日が続いた。スタッフの顔色は日に日に悪くなり、インシデント報告も増える一方だった。
ある夜、三十六時間連続勤務の末、俺は投薬記録に小さなミスをした。幸い患者への影響はなかった。だが、報告に向かったナースセンターで太田は、まるで獲物を見つけたように声を張り上げた。
「ちょっと! 私の責任問題になるんだから、しっかりしなさいよ!」
太田の金切り声が響き、周囲の看護師たちの肩がびくりと跳ねる。俺は頭を下げた。「申し訳ありません。睡眠不足で集中力が――」と言いかけた瞬間、彼女は叩き潰すように言った。
「言い訳するな。だらしない生活をしてるお前が悪いのよ!」
そのとき、チーム最年長の伊藤さんが間に入ってくれた。「佐々木さんは誰より過密スケジュールをこなしています。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=_Tqgq0eeZkw,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]