引越し当日、まだ新居のワックスの匂いが残る5LDKの玄関に、段ボールが山のように積み上がっていた。私は汗をぬぐいながら、ようやく「ここが私たちの新しい生活の場所になるのね」と胸の中で小さく呟いた。
――その瞬間だった。
「なあ、言い忘れてたわ」
夫が妙に軽い口調で言う。嫌な予感が背筋を走り、私は手を止めた。
「明日から、ママも同居な! この家、広いし問題ないだろ?」
耳を疑った。相談も説明も、何ひとつない。私が言葉を探している間に、夫のスマホがスピーカーになり、義母の甲高い声が響いた。
『楽しみねぇ。5LDKなんて立派じゃない。これで嫁いびり、思う存分できるわw』
……嫁いびりを「楽しみ」と言い切る人が、明日から同居。
私の中で、怒りより先に静かな覚悟が固まった。
(楽しみ? 同感よ)
私は笑った。表情だけは、穏やかに。
「了解。準備しておくね」
夫は、私がショックで言い返せないのだと勘違いしたのだろう。満足げに頷き、義母も電話越しに勝ち誇ったように笑った。
けれど私は、この瞬間から“引越し”の意味を変えた。
これは家族が増える日ではない。
私が、私の人生の主導権を取り戻す日だ。
そもそも、私は結婚してからずっと義母に苦しめられてきた。
「あなたは気が利かない」
「うちの息子に釣り合ってない」
「料理がまずい」
言葉は毎回違っても、狙いは同じ。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=vueIVj_yaN4,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]