「嫌なら、別の席に行けばいいじゃないですか」
新幹線に乗って数分。
隣に座っていた女性から、信じられない言葉を浴びせられた。
私が予約したのは窓側の指定席。
ところが席へ行くと、目の前には巨大な青いスーツケースが横向きに置かれていた。
テーブルは開けない。
足を伸ばす隙間もない。
私の荷物を置く場所さえ残っていなかった。
「すみません。
こちらのスーツケースですか?」
女性はノートパソコンを見たまま、完全に無視。
聞こえなかったのかと思い、もう一度声をかけた。
すると女性は、面倒そうに顔を上げた。
「そうですけど?」
「少し移動していただけますか。私の足元まで塞がれているので」
私がそう頼むと、女性はスーツケースを軽く叩きながら鼻で笑った。
「私が先に置いたんです」
「指定席に早い者勝ちは関係ないと思いますが……」
「じゃあ、嫌なら別の席に行けば?」
車内はほぼ満席だった。
私はこの日のために、数日前から指定席を予約している。
それなのに、なぜ私が移動しなければならないのか。
さらに女性は、スーツケースの上に足を乗せた。
通路へ出るための隙間まで完全に塞がれた。
しばらくして、私は洗面所へ行きたくなった。
「すみません。通してもらえますか?」
女性は動こうともしない。
「さっきから注文が多いですね」
私は体を横向きにし、スーツケースを避けながら通路へ出た。
その瞬間、靴が箱の角に引っかかり、危うく転びそうになった。
後ろの席にいた男性が、とっさに私の腕を支えてくれた。
「大丈夫ですか?」
私はお礼を言いながら、スマートフォンで座席周辺の状態を撮影した。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください