「もうママなんか知らない!」
11歳の娘がそう叫んだ。
そして次の瞬間。
私の足元に、ぐしゃぐしゃに丸められた1枚の紙が飛んできた。
その瞬間、胸がズキッとした。
「そこまで言わなくても……」
正直、そう思った。
最近、娘とはよくぶつかる。
朝起きる時間。
スマホを見る時間。
宿題のこと。
片付けのこと。
小さな注意の積み重ねが、いつの間にか大きなケンカになる。
昔は、
「ママ大好き」
と言って抱きついてきた娘。
手をつないで歩いてくれた娘。
何でも話してくれた娘。
でも今は違う。
「うるさい」
「分かってる」
「もう子どもじゃないから」
そんな言葉が増えた。
11歳。
少しずつ大人になろうとしている時期。
分かっているつもりだった。
でも、実際に強い言葉をぶつけられると、母親だって傷つく。
私は静かに紙を拾った。
「何を書いたの……」
怒りながら開いた紙。
そこには、娘の字でたくさんの言葉が並んでいた。
大きな文字。
乱れた線。
途中で消した跡。
そこには、
「ママ嫌い」
「うるさい」
「もう放っておいて」
そんな言葉が書かれていた。
正直、涙が出た。
「私、そんなに嫌われることしてるのかな」
母親として自信がなくなった。
でも、紙を読み進めていくと、少し違うものが見えてきた。
その中には、
「本当は分かってる」
「いつもご飯作ってくれる」
「日本語とか勉強教えてくれる」
「心配してくれてるのは分かる」
そんな気持ちも混ざっていた。
怒りの言葉の隙間に、
本当は言えなかった「ありがとう」が隠れていた。
娘はまだ上手に気持ちを伝えられなかっただけなのかもしれない。
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