「……え?」
9月分の水道料金の明細を見た瞬間、私は言葉を失った。
請求金額。
260,167円。
桁を何度も確認した。
「26万円……?」
普段の水道代とは明らかに違う。
何かの間違いだと思った。
でも、紙に書かれている数字は変わらなかった。
使用水量を見ると、
516㎥。
今まで見たこともない数字だった。
頭に浮かんだのは、ただ1つ。
「水漏れしているんじゃないか?」
すぐに水道設備の業者さんへ連絡した。
家の中を確認してもらった。
床下。
配管。
外の水道メーター周辺。
しかし、表から見える配管には問題がなかった。
「大きな漏水なら、どこかに跡が出るはずなんですが……」
業者さんも首をかしげていた。
でも、水道メーターを見ると確かに動いている。
家のどこかで、水が使われ続けている。
一体どこから?
家族で順番に水回りを確認した。
キッチン。
洗面所。
お風呂。
異常なし。
最後に見たのは、トイレだった。
我が家のトイレは最新式。
人が近づくと自動で電気がつく。
近づけばフタが開く。
流すのも自動。
最初に見た時は、
「すごい時代になったな」
と思った。
まるでホテルのような便利さだった。
ところが。
水道屋さんがトイレを見た瞬間、少し表情を変えた。
「もしかして……この“くるくる”ですか?」
私は意味が分からなかった。
よく見ると、便器の中で水が静かに回り続けていた。
勢いは弱い。
音もほとんどしない。
だから今まで気づかなかった。
でも、水は止まっていなかった。
業者さんが確認すると、
「これ、ずっと流れていた可能性があります」
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