グリーン車なら静かに過ごせる――そう思って追加料金を払い、指定された席に座った。
ところが、発車して間もなく、その期待は完全に裏切られた。
前方に座っていた男女は、イヤホンも使わず、スマートフォンで映画を大音量のまま再生していた。
派手な効果音が車内に響くたびに、二人は顔を見合わせて大笑いする。
それだけではない。
男性は靴を脱ぎ、両足を前の座席の背もたれに押しつけていた。
女性も深く倒した座席にもたれ、大きな声で映画の感想を話し続けている。
前の席に人がいないから何をしてもいい、という態度だった。
しかし、足を置かれた座席は誰かが次に利用するものだ。
しかも女性の座席は限界近くまで倒され、後ろに座っていた年配の女性は窮屈そうに身を縮めていた。テーブルを使うこともできず、何度も困ったように前を見ている。
周囲の乗客も迷惑そうに二人を見ていたが、誰も声をかけられない。
私も最初は我慢していた。
そのうち静かになるだろうと思ったからだ。
だが、20分が過ぎても音量は下がらない。それどころか、二人の笑い声はますます大きくなった。
ついに私は席を立ち、二人の近くまで歩いた。
「すみません。さっきから音がかなり響いています。イヤホンを使ってもらえませんか」
男性は画面から目を離さず、面倒そうに答えた。
「別に、このくらいよくないですか?」
女性も笑いながら、「気にしすぎでしょ」と小声で言った。
その一言で、私の我慢は限界に達した。
「よくありません。ここはあなたたちだけの部屋ではありません。それから、その足を座席から下ろしてください。
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