結婚して三年目。
俺はようやく、妻の美咲とその家族が見ていたものが、俺自身ではなく俺の給料だったのだと気づいた。
交際中の美咲は、控えめで優しい女性に見えた。
「お金より、安心して暮らせることが大事」
そう言っていた彼女を、俺は本気で信じていた。
だが結婚してから、少しずつ違和感が積み重なっていった。
給料日になると、美咲は真っ先に通帳を確認した。
義母は会うたびに「男なら妻に苦労させちゃだめよ」と言いながら、外食代も旅行代も当然のように俺に払わせた。
義父は酒が入ると、「うちの娘をもらったんだから、実家にも少しは恩返ししろ」と笑った。
義妹の引っ越し費用、義母のブランドバッグ、義父の車検代。
最初は親戚付き合いの範囲だと思っていた。
だが、断るたびに美咲は不機嫌になった。
「家族なんだから助け合うのは普通でしょ」
その“家族”の中に、俺の両親は入っていなかった。
ある日、俺は会社で内示を受けた。
来期から本社の新規事業部へ異動し、役職も上がる。
収入も大幅に増える予定だった。
本来なら美咲に喜んで報告するところだ。
しかし、その前にどうしても確かめたいことがあった。
俺は夕食の後、わざと深刻な顔で切り出した。
「実は……給料が大幅に減ることになった」
美咲の箸が止まった。
「どれくらい?」
「今の半分近くになるかもしれない」
もちろん嘘だった。
けれど、彼女の反応を見るには十分だった。
美咲の表情から、心配より先に苛立ちが浮かんだ。
「は? じゃあ住宅ローンは? 生活費は? うちの実家への援助は?」
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=fsNQd0HypXg,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]