「中卒同然の人間に、ボーナス700万円? こんな無駄遣い、認められるわけがないだろ」
三代目社長に就任したばかりの川口洋平は、内部監査で社員の給与資料を見るなり、露骨に顔をしかめた。
その視線の先にあったのは、開発部課長・不知火の名前だった。
不知火は45歳。美容家電メーカー「ビューティー川口」で長年、ドライヤーやヘアアイロン、美顔器などの開発に携わってきた。
口数は少なく、人付き合いも得意ではない。
しかし、製品に関する相談をすれば必ず的確な答えを出し、若手社員からも部長からも絶大な信頼を寄せられていた。
そんな不知火に、会社は毎年700万円近い賞与を支給していた。
洋平には、それが理解できなかった。
病気で入院した父・幸田会長に代わり社長へ就任した洋平は、海外留学経験を誇り、極端な学歴至上主義を掲げていた。
「役職は大卒以上。低学歴の社員に高い給料を払う必要はない」
就任直後から社員の学歴一覧を調べ、次々と降格や退職勧奨を進めていった。
そして標的になったのが不知火だった。
ある日、不知火は社長室へ呼び出された。
「工業高校と専門学校? 俺からすれば中卒と同じだ」
洋平は鼻で笑った。
「そんな学歴で課長になって、ボーナス700万円なんてあり得ない。無能に払う金はない。辞めてもらう」
周囲の社員たちは一斉に止めた。
「社長、不知火課長は会社に必要な人です」
「今の製品が世界中で売れている理由を、本当に知らないんですか?」
しかし洋平は聞く耳を持たなかった。
「経営に口を出すな。俺に逆らうなら、お前たちも辞めてもらう」
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=V1LQfmPThag,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]