庭の木が消えていることに気づいたのは、朝の水やりをしている時だった。
玄関横の花壇に植えていた、小さなモミジの木。
背丈はまだ私の腰ほどだったが、亡くなった父が生前に植えてくれた大切な木だった。
「この家に秋の色が増えるように」と笑っていた父の声まで思い出せるほど、私にとってはただの庭木ではなかった。
それが、根元から乱暴に掘り返され、土だけがえぐれたように残っていた。
最初は信じられなかった。
風で倒れたわけでも、業者が間違えたわけでもない。
明らかに誰かが持ち去っていた。
私はすぐに防犯カメラを確認した。
そこに映っていたのは、同じ幼稚園に子どもを通わせている真紀さんだった。
近所では「泥ママ」と陰で呼ばれている人だ。
以前から、人の家の鉢植えや傘、子どものおもちゃがなくなるたびに、なぜか彼女の家で似た物が見つかることがあった。
けれど証拠がなく、誰も強く言えずにいた。
映像の中の真紀さんは、深夜にスコップを持って我が家の庭へ入り、モミジの周りを掘り始めていた。
何度も周囲を確認しながら、最後は根を無理やり引き抜き、車のトランクへ押し込んでいた。
私は手が震えるほど腹が立った。
すぐに警察へ相談し、映像を提出した。
さらに、木を植えてくれた造園業者にも連絡し、同じ種類、同じ年数の木を植え直す場合の費用、庭の修復費、根を傷つけられたことによる損害の見積もりを取った。
数日後、真紀さんの夫から連絡があった。
「妻が一度、直接謝罪に伺いたいと言っています」
私は断ろうかと思った。
けれど、警察からも「話し合いの場は録音しておいた方がいい」と言われていたため、弁護士同席のうえでなら会うと伝えた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=TrNv50Bi3Nk,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]