その日の朝、私はいつものようにトイレを掃除した。
便器を磨き、床を拭き、便座の裏側まで確認した。
掃除が終わったあと、私は買い物へ出かけた。
家に残ったのは、休みだった夫だけだ。
1時間ほどして帰宅し、トイレの扉を開けた瞬間、私は言葉を失った。
白い便器が、大量の黒い毛で覆われていた。
便座の縁には短い毛がびっしりと張り付き、中央には大きな塊までできている。
「何これ……」
一瞬、虫が大量発生したのかと思った。
近づいて確認すると、すべて人間の髪の毛らしきものだった。
私はすぐにリビングへ向かった。
夫はソファに座り、室内なのに帽子を深くかぶっていた。
「トイレで何したの?」
私が尋ねると、夫はテレビから目を離さずに答えた。
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