「お客様の代車が、立体駐車場の機械に挟まれて大破しています」
午前1時47分。
警備会社からの電話で、私は飛び起きた。
車検中のため、整備工場から借りていた黒い軽自動車。
数時間前まで無傷だったその車は、屋根が大きくへこみ、後部ガラスが粉々に割れていた。
急いで現場へ行くと、警備員が申し訳なさそうに言った。
「高さ制限に引っかかったようです」
私は言葉を失った。
確かに立体駐車場には、高さ制限がある。
だから入庫前に車検証を確認し、係員にも車種を伝えた。
案内された区画には余裕があり、問題なく駐車できた。
周囲にはアルファードなどの大型車も並んでいた。
普段停めているミニクーパーでも、一度も問題は起きていない。
それなのに、駐車場の管理責任者は開口一番こう言った。
「制限を超えた車を入れた利用者側の責任ですね」
さらに後日、代車の修理費として約180万円を請求される可能性があると言われた。
私は頭が真っ白になった。
自分の車ではない。
借り物の代車だ。
整備工場にも迷惑がかかる。
仕事へ行く気力すらなくなった。
しかし、事故現場を確認していると、妙なことに気づいた。
私が停めた場所と、車が破損していた場所が違う。
入庫時は「B12」。
事故発生時は、天井の低い「C08」に移動されていた。
私は管理責任者に尋ねた。
「誰が車を動かしたんですか?」
すると相手は目をそらした。
「機械式なので、自動的に移動することもあります」
だが、利用者が勝手に車を移動させることはできない。
操作には管理用の鍵と暗証番号が必要だった。
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