成人の日、母から渡されたのは、祝いの品ではなく1冊の通帳だった。
「これ、あんたのお年玉」
母はそう言って、私の前へ差し出した。
子どもの頃、正月になると祖父母や親戚からお年玉をもらっていた。
そのたびに母から、
「なくすといけないから預かっておくね」
と言われ、封筒ごと渡していた。
何に使うか考える前に預けていたため、正確な合計額は覚えていない。
それでも毎年の金額を大まかに足せば、20万円くらいは残っていると思っていた。
私は少し期待しながら通帳を開いた。
しかし、最後に印字されていた残高は3万円だった。
最初は別の口座があるのかと思った。
「これだけ?」
「うん」
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