振袖が並ぶ売り場で、鮮やかな青色の1枚が目に留まった。
明るい水色ではなく、見る角度によって深い青にも青緑にも見える独特の色だった。
生地全体には細かな金色の粒が散り、光が当たるたびに控えめに輝いていた。
裾から身頃、袖にかけては、花や葉が浮かび上がるような絞り染めの模様が続いている。
私は辻が花を思わせる雰囲気にひかれ、しばらくその場で眺めていた。
値札は1万円。
周囲には5000円台の振袖も多く並んでいたが、柄や色、生地の状態を見れば、私には1万円でも安く感じられた。
細かな鑑定ができるわけではない。
本物の作家物か、どの程度の価値があるのかまでは分からない。
それでも、自分が着物として気に入って1万円を払うなら、十分納得できると思った。
そこで振袖をレジへ持って行った。
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