「明日の午後3時、保護者全員の前で頭を下げてください」
園長はそう言って、一枚の手紙を私の前に置いた。
花柄の枠に、びっしりと書かれた苦情。
そこには、目を疑うような内容が並んでいた。
私は夜になると繁華街へ出入りし、保育士として不適切な私生活を送っている。
そんな人間に、大切な子どもを預けることはできない。
直接謝罪し、ただちに退職してほしい――。
苦情を書いたのは、園児の母親である田中さんだった。
私はすぐに事情を説明しようとした。
しかし園長は、私の言葉を遮った。
「本当かどうかは、今は問題じゃないの」
「保護者が怒っている以上、まず謝って騒ぎを収めて」
私は耳を疑った。
事実確認もせず、嘘を認めろというのだ。
その日の夜、保護者のグループチャットでは、さらにひどい噂が広がった。
「夜の店で働いているらしい」
「男性と何度も会っているのを見た人がいる」
「子どもに何かあってからでは遅い」
田中さんは、証拠もない話を次々と投稿した。
翌朝には十数人の保護者が、私の退職を求める文書に署名していた。
園の外で私を撮影する人まで現れた。
私は反論しなかった。
ただ、園長に一つだけ伝えた。
「明日の説明会は、最初から最後まで録画してください」
園長は、私が謝罪する覚悟を決めたのだと思ったらしい。
「もちろん。そのほうが誠意も伝わるでしょう」
そして翌日。
会議室には園長、職員、そして二十人近い保護者が集まっていた。
田中さんは私を見るなり、机を強く叩いた。
「あなた、夜中にあの店へ通っていますよね?」
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