「一人でこの家を払えるわけないだろ」
離婚してから、まだ1か月も経っていない頃。
元夫はそう言って、私を見下すように笑った。
その言葉が。
今でも耳に残っている。
でも。
あの日の私は、言い返す余裕なんてなかった。
なぜなら。
その日の夜。
銀行から届いた一通の封筒を開けた瞬間。
私の手は止まったから。
中に入っていたのは。
住宅ローン契約終了のお知らせ。
そこに書かれていた数字。
89,780,000円。
35年ローン。
これから私が背負っていく金額だった。
「……嘘でしょ」
思わず声が漏れた。
子どもがいる。
生活費も必要。
学校のお金も必要。
毎月の返済もしなければならない。
当時の私の収入だけでは。
正直、簡単な金額ではなかった。
離婚前。
私は夫を信じていた。
家は二人で相談して買った。
子どもが大きくなった時も。
この家で笑って過ごしたかった。
だから。
離婚すると決めた時も。
家だけは守りたかった。
でも。
元夫は違った。
離婚した途端。
まるで他人のように言った。
「無理だって」
「お前一人で維持できるわけない」
「そのうち手放すことになるよ」
その言葉を聞いた瞬間。
胸が締め付けられた。
悔しかった。
悲しかった。
でも。
一番悔しかったのは。
元夫に「やっぱり無理だった」と思われることだった。
私は決めた。
絶対に諦めない。
子どもに。
「お母さんは逃げた」
なんて思わせない。
この家は。
私が守る。
そこから私の生活は変わった。
まず。
毎月のお金の流れを全部見直した。
食費。
光熱費。
保険。
必要のない出費。
一つずつ削った。
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