「誰がこんな嫌がらせをしたの?」
仕事を終えて、ようやく家に帰った日のことだった。
玄関のドアを開けた瞬間。
私はその場で足が止まった。
目の前に置かれていたのは。
大きな段ボール箱。
しかも。
箱の表面には黒いマジックで大きく書かれた文字があった。
「うんち入り」
「うんこ入り」
「……え?」
一瞬。
頭の中が真っ白になった。
何度見ても。
そこには信じられない言葉が書かれていた。
私は一人暮らしのマンションに住んでいる。
玄関前は自分だけの場所ではない。
住人みんなが通る場所だ。
そんなところに。
こんな箱を置くなんて。
普通じゃない。
誰かの悪質ないたずら?
近所の嫌がらせ?
それとも。
私に対する何かの警告?
いろんな考えが頭をよぎった。
正直。
怒りが込み上げてきた。
「一体誰がこんなことを……」
管理会社に連絡するべきか。
防犯カメラを確認してもらうべきか。
本気でスマホを手に取った。
でも。
その時。
私はあることに気付いた。
箱の横に。
宅配便の伝票が貼られていた。
「荷物……?」
恐る恐る伝票を見る。
すると。
送り主の名前を見た瞬間。
私は固まった。
そこに書かれていた名前。
「母」
「……え?」
思わず声が出た。
母?
なんで?
母がこんな箱を送ってくるの?
頭の中はさらに混乱した。
私の母は昔から少し大雑把な人だった。
節約好きで。
使えるものは最後まで使う。
「まだ使えるのにもったいない」
それが口癖だった。
でも。
まさか。
こんな箱を使うとは思わなかった。
私は少し迷った。
開けるべきか。
開けないべきか。
でも。
送り主は母だ。
意を決して。
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