家族で実家へ里帰りしていた。
母は私たちが到着する前から、布団を干し、食材を買い、何日分もの献立まで考えてくれていた。
朝起きれば朝食が用意され、出かけて戻れば温かい夕食が並んでいる。
私が台所へ立とうとしても、母は笑って止めた。
「せっかく帰ってきたんだから、ゆっくりしなさい」
その言葉に甘えながらも、私は申し訳なさを感じていた。
家族が増えれば、食費も光熱費も普段よりかかる。
母も年齢を重ね、以前のように何でも負担してもらってよいとは思えなかった。
帰る日の朝、私は用意していた封筒を母へ差し出した。
「滞在中の食費。少ないけど受け取って」
母はすぐに首を横に振った。
「家族が帰ってきただけなのに、お金なんて要らないよ」
「でも、何日もお世話になったから」
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