9時36分、私は京都駅から上りののぞみに乗車した。
指定された2号車へ入ると、車内はほぼ満席だった。
通路には自分の座席を探す乗客が続き、荷物棚にもスーツケースが並んでいる。
その中で、3席分だけが異様な状態になっていた。
黒い服を着た男性が、3人掛けの座席をベッドのように使って横になっていたのだ。
頭を窓側へ向け、体を丸め、両足は通路側の座席まで伸ばしている。
さらに白い靴を履いたまま、青い座席へ直接載せていた。
最初は、3席分すべて購入しているのかと思った。
それなら横になること自体について、周囲が口を挟む問題ではないのかもしれない。
しかし、ほぼ満席の車内で本当に3席購入したのだろうかという疑問は残った。
「すごいわ。3席買うてはるんやろな」
私は心の中でつぶやいた。
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