大家をしている私には、以前から連絡の取りにくい入居者がいた。
生活保護を受けており、家賃については福祉事務所とも連絡を取ることがあった。
ある日を境に、本人とまったく連絡がつかなくなった。
電話をしても出ない。
書面を送っても返事がない。
退去届も提出されず、室内確認の立ち会い希望も届いていなかった。
必要な確認を経て部屋を訪ねると、すでに生活している気配はなかった。
ところが、室内は空になっていたわけではない。
床一面に段ボールの破片が散乱していた。
押し入れの中にも破れた紙や板のようなものが残され、壁の一部にも段ボールが貼り付けられている。
普通に荷物を運び出した後とは思えない状態だった。
「退去の連絡もせず、これを残して消えたのか」
怒りが込み上げた。
清掃だけで済むのか、床や壁の補修まで必要なのかも分からない。
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