「800円の商品だから、諦めるしかないのか?」
届いた封筒を開けた私は、思わず中を二度見した。
注文した品物は入っていない。
代わりに出てきたのは、汚れた使用済みの補修ペンだった。封筒の内側も破れ、雑に包んだような紙が残っている。
最初は出品者の発送ミスかと思った。
しかし、取引画面を確認しても「間違えました」という連絡はない。
写真とまったく違う品物を送り、取引を終わらせようとしているように見えた。
金額は800円。
だが、少額なら何をしても許されるわけではない。
私は届いた封筒、送り状、開封直後の中身をすべて撮影した。配送記録を確認すると、荷物が持ち込まれたコンビニも分かった。
そこで店舗へ連絡し、事情を説明した。
「防犯カメラが残っているなら、発送時の状況を確認していただけませんか」
店長は真剣に話を聞き、発送された日時と受付番号を照合してくれた。
数時間後、店舗から電話があった。
「カメラを確認しました。荷物を持ち込んだ人物が分かりました」
ここまでは予想していた。
だが、続いて告げられた言葉に驚いた。
発送したのは、外から来た客ではなかった。
その店で働く高校生アルバイトだったのだ。
本人も電話口に出て、「僕が発送しました」と認めた。
理由を聞くと、不要になった物を別の商品として出品し、少額なら相手も面倒がって諦めると思ったらしい。
「警察にも相談します」
私がそう伝えた瞬間、さっきまで淡々としていた声が震えた。
「それだけは勘弁してください。親には自分から話します」
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