夕方16時26分、夫から突然、やけに丁寧なメッセージが届いた。
「お疲れ様です。先ほどお送りした資料に一部誤りがございました。確認が不十分なまま共有してしまい、申し訳ございません」
一瞬、私は画面を二度見した。
普段の夫なら、
「今日遅くなる」
「牛乳ある?」
くらいしか送ってこない。
明らかに私宛てではない。
しかも、その文章の最後には、
「上司向けなら、言い訳せず『謝罪+修正済み+再確認』の流れが自然です」
という、どう考えてもAIに添削してもらった時の文章までそのまま残っていた。
私は思わず吹き出した。
「これ、かなり追い詰められてるな……」
最近の夫は、会社の大きなプレゼンを任されていた。
帰宅は毎晩遅く、食事中も資料を確認。
休日もパソコンを開き、
「今月さえ乗り切れば……」
が口癖になっていた。
そして16時29分。
今度はPDFまで送られてきた。
ファイル名を見た私は、完全に状況を理解した。
「2026:08 プレゼン資料(人生終了版).pdf」
人生終了版って。
どれだけ余裕ないのよ。
どうやら夫は、修正版の資料を上司へ送るつもりで、間違えて私とのトーク画面を開いていたらしい。
しかし、このまま笑って終わらせるわけにもいかなかった。
あと数分で、本当に上司へ送ってしまうかもしれない。
私は急いで返信した。
「・最後のAIの文章消してない」
「・PDF名→(再修正版)に変更」
すると、すぐ既読がついた。
数秒後。
「大変申し訳ございません。」
まだ気づいていない。
私はスマホを持ったまま笑いをこらえた。
すると30秒ほどして、次のメッセージが飛んできた。
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