仕事を終えて家に帰ると、私の駐車場に見知らぬ車が停まっていた。
「……え、ここ私の場所なんだけど」
一瞬、駐車位置を間違えたのかと思い、番号まで確認した。
間違いない。
毎月きちんと料金を払っている、私の契約スペースだった。
仕方なく駐車場の前でウインカーを出し、その車が動くのを待つことにした。
すると、停めたばかりだったらしく、中から中年の夫婦が降りてきた。
「あ、よかった。すぐ動かしてくれるんだ」
そう思ったのも一瞬だった。
夫婦はこちらの車をチラッと見た。
私がウインカーを出し、自分たちの真後ろで待っていることにも気づいている。
なのに――。
後部座席のドアを開け、そのまま荷物の積み下ろしを始めた。
大きなバッグ。
紙袋。
段ボール。
夫婦は何度も車と隣家を往復し、こちらには一言もない。
「すみません、すぐ動かします」
その一言さえあれば、私は待てた。
でも完全に知らん顔。
さすがに腹が立った。
私はクラクションを鳴らす代わりに、静かに車を進め、無断駐車している車の真後ろで停車した。
これなら、さすがに分かるだろう。
ところが夫婦は私を見ても、まだ荷物を運び続ける。
「そこまでして無視する?」
怒りより呆れの方が強くなってきた。
すると一緒にいた中学生くらいの娘さんが、両親に小声で何か言った。
娘さんだけは状況を理解していたらしい。
夫婦はようやく車へ戻った。
しかし謝罪はなし。
会釈すらなし。
夫は無言で運転席に乗り、面倒そうに車を動かした。
私はかなりイライラしながらバックして、自分のスペースへ駐車しようとした。
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