2012年5月、北アルプス・白馬岳で、登山経験豊富な6人の医師たちが命を落とす痛ましい遭難事故が起きた。彼らは福岡県から訪れた63歳から78歳までの登山仲間で、経験の浅い1人を除けば、全員が30年以上の山歴を持つベテランだった。国内の三千メートル級の山々を歩き、海外登山を経験した者もいる。装備も計画も決して軽率ではなかった。
5月4日午前5時30分、6人は栂池ヒュッテを出発した。目的は白馬大池を経て白馬岳山頂へ向かい、その夜は白馬山荘に泊まること。標準コースタイムの1.5倍を見込んだ、余裕ある二泊三日の計画だった。空は晴れ、風も穏やかで、前日までの雨が嘘のように山は静まり返っていた。
しかし、その晴天は本当の好天ではなかった。低気圧の狭間に一時的に現れる「擬似好天」。表面上は穏やかでも、すぐに暴風や雪に変わる危険を孕んだ、山が見せる危うい静けさだった。
午前10時50分、6人は白馬大池に到着する。予定より約1時間遅れていた。霧が立ち込め、雨もぱらつき始めていたが、彼らは軽い休憩を取り、先へ進む判断をした。
その時、前方から引き返してきた登山者が声をかける。
「この先は霧が濃く、風も強くなっています。今日は戻った方がいいかもしれません」
その忠告は真剣だった。実際、他の登山パーティーも天候悪化を察知し、次々と引き返していた。だが6人は「まだ余裕がある」と判断し、前進を選ぶ。長年の経験、十分な装備、そして白馬山荘まで行けば休めるという思いが、彼らの背中を押したのだろう。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=LFVNKUtveyc,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]