1989年10月、中高年登山ブームの中、京都や滋賀の税理士仲間を中心とした男女10人のグループが、紅葉を楽しむため立山連峰へ向かった。平均年齢は55歳を超え、男性7人、女性3人。登山経験があるのはAさんとCさんだけで、4人は登山そのものが初めてだった。
計画は二泊三日。立山駅からケーブルカーとバスで室堂へ入り、そこから一ノ越、雄山、大汝山、別山を巡り、初日は剣御前小屋に泊まる予定だった。
山頂で豚汁を作ることも楽しみの一つで、彼らにとっては「秋の紅葉を見に行く気軽な山旅」のつもりだった。
10月8日午前8時45分、一行は室堂を出発した。空は雲一つない快晴。紅葉は美しく、誰もが笑顔だった。
「来てよかったな」
「こんな天気なら最高やね」
そんな会話が弾んだ。しかし、その穏やかな時間はわずか15分ほどで崩れ去る。突然、空が暗くなり、雪がちらつき始めた。やがて風が強まり、視界は白く霞んでいく。秋山登山のはずが、山は一瞬で冬山へ姿を変えたのだ。
一行は驚きながらも歩き続け、一ノ越山荘に到着する。ここで引き返す選択肢は確かにあった。だが、彼らはすでに長い時間をかけて立山まで来ていた。
さっきまでの快晴も、撤退の決断を鈍らせた。
「少し休めば大丈夫やろう」
「せっかく来たんやし、頂上までは行こう」
その言葉に押されるように、Aさんは再出発を決めた。だが、参加者の装備は冬山に耐えられるものではなかった。綿のズボン、軽登山靴、薄い雨具。中には手袋すら持っていない者もいた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=_UnvBwR1otw,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]