八王子の祭り会場を歩いていた時、屋台の裏側で思わず足が止まった。
発泡スチロールの箱のふたが開いたまま。
中には、串に刺された生肉らしきものが大量に並んでいる。
しかも、その箱は冷蔵ケースの中ではなく、歩道脇にそのまま置かれていた。
「え……これ、今日売るやつだよな?」
祭りはまだ本格的に始まる前。
これから人が増え、夕方には子ども連れの家族もたくさん来るはずだった。
私は最初、
「準備中で、すぐ焼くのかな」
と思った。
でも10分ほど別の屋台を見て戻ってきても、箱は同じ場所にあった。
ふたは開いたまま。
肉の上には薄いビニールがかかっているだけに見える。
さすがに気になった私は、屋台の男性に声をかけた。
「すみません。あのお肉、あのままで大丈夫なんですか?」
すると男性は一瞬こちらを見て、
「これから使うから大丈夫、大丈夫」
と笑った。
私はそれ以上責めるつもりはなかった。
ただ、
「暑いですし、ちょっと気になって……」
と伝えた。
すると横にいた別のスタッフが、
「祭りなんて昔からこんなもんだよ」
と少し面倒そうに言った。
その言葉に、逆に不安が増した。
昔からやっていることと、安全かどうかは別の話だ。
しかも、通りかかった親子が、
「焼き鳥食べたい!」
と楽しそうに屋台を指さしている。
私は余計なお世話かもしれないと思いながらも、近くにいた運営スタッフらしき人へ状況を伝えた。
「屋台の裏に生肉らしきものが出たままになっていて、少し心配なんですが」
スタッフはすぐ現場を確認しに行った。
数分後。
さっきまで笑っていた屋台の男性と、運営側の人が真剣な表情で話していた。
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