フードコートで突然、「神ですか?」と言われた。
ほんの少し勇気を出しただけなのに、その一言で私の方が泣きそうになった。
休日、夫と買い物に出かけ、昼食を取ろうとフードコートに入った時のこと。
近くの席に、まだ半年くらいの赤ちゃんを抱いたお母さんがいた。
もう片方の手では、2歳くらいの女の子と手をつないでいる。
見るからに大変そうだった。
お母さんが赤ちゃんをベビーカーに寝かせようとすると、
「ふぇぇぇん!」
赤ちゃんはすぐに泣き出した。
慌てて抱き上げると、今度はお姉ちゃんが、
「おなかすいたー!」
とぐずり始める。
そんな時、
ピピピピッ。
注文した料理ができたことを知らせるブザーが鳴った。
お母さんは女の子に、
「一緒に取りに行こう?」
と優しく声をかけた。
しかし女の子は首を横に振る。
「イヤ!」
その場から動こうとしない。
赤ちゃんは泣いている。
女の子も怒っている。
料理は取りに行かないといけない。
お母さんの困った表情を見た瞬間、私は考えるより先に声をかけていた。
「よかったら、私が取ってきますよ。どこのお店ですか?」
お母さんは一瞬驚いた顔をした。
知らない人に突然声をかけられたのだから当然だ。
でも次の瞬間、
「本当ですか?助かります!」
と、ぱっと表情が明るくなった。
私はブザーを受け取り、店まで行った。
出来上がっていたのは温かいうどん。
トレーにはお水も一緒に乗せて、お母さんのテーブルまで運んだ。
「ありがとうございます!」
お母さんは何度も頭を下げてくれた。
これで一件落着。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください