夜11時。
仕事を終えてマンションへ戻った私は、駐車場の前で固まった。
前日から予約していた無料の来客用スペースに、見知らぬ銀色の車が堂々と停まっていたのだ。
予約完了メールには、利用時間、部屋番号、車両情報がはっきり残っている。
間違いなく私の場所だった。
周囲の駐車スペースは、すべて満車。
すぐに管理会社へ電話すると、担当者は予約状況を確認したうえで言った。
「確かにお客様の予約です。ただ、コインパーキング代は補填できません。警察へ相談してください」
被害を受けた私だけが、お金を払う。
納得できなかったが、路上に停めるわけにもいかない。
私は銀色の車、ナンバー、駐車位置、スマホの時刻画面を撮影し、近くのコインパーキングへ移動した。
約20分後、警察官が到着。
調べてもらうと、その車は個人名義ではなく、会社名義の社用車だと分かった。
しかし、ここは私有地。
警察でも勝手に移動させることはできないという。
私は警察への相談記録と入庫時刻を残し、翌朝を待った。
朝7時半。
問題の車の前で待っていると、スーツ姿の男が眠そうな顔で現れた。
「この車、あなたのですか?」
「そうですけど。何か?」
男は悪びれる様子もなく、車の鍵を開けた。
「ここは私が予約していた場所です。昨夜はあなたのせいで有料駐車場を使いました」
すると男は、謝るどころか鼻で笑った。
「ここ、無料なんでしょ? 空いてたから停めただけです」
私は予約完了メールを見せた。
それでも男の態度は変わらない。
「たかが一晩でしょ」
「数千円くらいで警察まで呼んだんですか?」
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