駅から少し離れた細い路地に、十二席しかない小さな定食屋があります。
大きな看板もありません。行列ができる有名店でもありません。
それでも、毎朝市場から仕入れた食材を使い、一つ一つ手をかけて料理を作ることだけは、誰にも負けないつもりで続けてきました。
この店を始めてから、もう何年も経ちます。
常連さんの「今日も美味しかったよ」という一言が、私にとって何よりの励みでした。
そんなある金曜日の夕方、一人の女性から電話がかかってきました。
「日曜日に小学校の運動会があるんですが、お弁当を18個お願いできますか?」
電話越しの声は、とても丁寧でした。
「11時半頃に取りに行きます」
私はすぐに予定を書き込みました。
運動会の日のお弁当は、普通のお弁当とは違います。
子どもたちが楽しみにしている大切な一食です。
だからこそ、私は細かい確認をしました。
「食べられないものはありますか?」
すると女性は答えました。
「卵が食べられない子が3人います。それから青魚が苦手な子が1人います」
私はカレンダーの裏紙にメモを書きました。
「西村さん、18個。卵なし3つ、青魚なし1つ」
名前と電話番号を書きながら、念のため聞きました。
「前金は必要ありませんか?」
すると女性は少し驚いたように言いました。
「大丈夫ですか?」
「はい。同じ街の方ですし、運動会のお弁当ですから」
私はそう答えました。
今思えば、その時に少しでも確認しておけばよかったのかもしれません。
でも、小さな店をやっていると、お客様との信頼を大切にしたくなるものです。
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引用元:https://www.youtube.com/shorts/EdEIQhY5gxo,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]