「お前のところ、部屋に空きあるよな?」
突然かかってきた兄からの電話。その第一声に、私は耳を疑った。
「今度の土曜日、母さん連れてそっち行くから。よろしくな」
「え……ちょっと待って。どういうこと?」
私の問いかけを聞くこともなく、電話は一方的に切られた。
私は若菜、45歳。夫の貴文と、中学二年生の息子・淳の三人で暮らしている。
一年ほど前、念願だったマイホームを建てたばかりだった。家族で話し合いながら作った家には、将来誰かが泊まりに来ても困らないように客間も用意していた。
そのことを知っている兄が、突然「母を連れて行く」と言い出したのだ。
あまりにも突然のことで、私は状況を理解できなかった。
兄は昔からそういう人だった。
自分の都合を最優先し、周囲がどう思うかなど気にしない。父が健在だった頃は、そんな兄を厳しく叱っていた。
「家族を大切にしろ」
「母さんや妹を守るのが男の役目だ」
父は何度も兄に言い聞かせていた。
しかし、その父ももういない。
父が亡くなってしばらくした頃、実家で一人暮らしをしていた母のもとへ、兄夫婦が引っ越してきた。
兄は仕事の異動で実家から通える距離になったから、母と暮らすことにしたと言った。
その時、兄嫁は優しい顔でこう言った。
「お義父さんも亡くなったし、お母さん一人じゃ心配でしょう?」
一見すると、母を気遣っているように聞こえた。
けれど私は、どこか違和感を覚えていた。
兄嫁は兄より10歳も若く、とても綺麗な女性だった。以前は夜の仕事をしていて、兄とは客と店員という関係から始まったらしい。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=tX_DcH6yzFQ&t=2s,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]